こんな感じ
- 2013.01.19 (Sat)
休日の縫製工場を訪問して打合せ
澄み切った空気の中で、しんと静まり返った縫製場
時間がとまったような、この空間が大好き。
目的は、新しい製品についての意見交換と打合せ
兎に角、プロトタイプの完成を目指す。
お天気の話から始まって、試作サンプルを前にしての本題へ
「じゃ、やりましょか。」
「これなんやけど。こういうときに、こんな感じで使ってもらえるようにしたいのと、、」
「そう考えると、ここをこうして、こう仕上て、、こんな感じに、、」
「そうすると、ここがこんな感じになるので、まずいよね、、、」
「それは、使いにくいなぁ。あかんなぁ。」
「じゃぁ、こんな感じに、こう縫ったら、どうかしら。」
「それは、ミシンのセッティングが難しいなぁ、、、そうか新しいミシンがいるなぁ、、」
「それに、ここの留めをどうするかも考えた方がいいよ。」
「それ、いるかなぁ、、逆に、こんな感じの方が良いのじゃない?」
"こんな感じ"という簡単に表現できる、しかし曖昧な言い回し連発の2時間。
そんな感じでなんとか方向性を見出す。
次はパターン化するときにみえてくる問題の対処をしながら実物の縫製へ。
以降、これらの繰り返しを何度か行う。
こちらでは、生地の延反と裁断
週明け一番にかかる縫製のために、前工程の延反と裁断は休日返上。
奥にみえる白いのが生地、これを延反機で製品の型に合せて広げ、たたみ重ねて裁断を行う。
手前は、裁断型。所謂、製品のパーツ図面。
延反機でたたみ重ねた生地の上に、これをセットして。描かれているパーツを切りだしていく。
描かれているのは、色々な形をしたパーツ群。縫製されて完成すると、あるホームウェアになる。
生地のくせを配慮して、生地ロスの無駄を少なく、効率良く裁断するための配置。
職人技が光る。
ここには、”こんな感じ”という曖昧さは既にない。
"こんな感じ"だけでは、今どきのものづくりによる製品は完成しない。
ものづくりのスタートの"こんな感じ"をカタチにするのが職人の腕と技。
昔は、"こんな感じ"という表現だけで、ものづくりできるマイスターが沢山いた。
新しい職人像の探究と、なり手の発掘と養成は両輪の輪で、待ったなし。
喜んでいただける製品が出来ますように。
”こんな感じ"で、冷たい空気がキュンとした縫製工場での打合せを終える。
大東寝具工業/大東利幸