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ねむりとくつろぎで、健康に。大東寝具工業
 

社長ブログ

親父のスケートボード

中学2年のある平和な日曜の朝

僕が買ってきた雑誌ポパイの創刊号
ページを繰り、あるページに見入る親父

そして、
よし、これ作ったろ
と、親父の実家が経営する鉄工所に連れていかれる

そして、作ってくれたのが
同じページを何度も何度も眺めて
欲しくてたまらなかったスケートボード

僕たち以外誰もいない、広くて鉄臭い工場の中で
先ずは、デッキ部分の作成に取りかかる

グラスファイバーの板なんてものはなく
厚さ15ミリ程度の板を、機械でそれなりにカットする

一時、公共建築の設計を志し
その道を歩んでいた親父は
それなりに器用でもある

お次はホィール
何せ、鉄工所での開発である

4個のホィールは、
重たい機械を移動させるに必要な鉄の車輪である

せめて、走るとガラガラとうるさい大きな音が出た
当時のローラースケートのホィールにしてくれ
と頼んでも、うるさいの一言であっさり却下

親父にしてみれば、
体よく言えばアイアン・ホィール
一応はベアリング内蔵なのである

しかし、ホィールを受ける車軸であり
方向操舵、ショック吸収を兼ねるトラックも
ただのTの字をした、当然アイアン製である

溶接の火花を散らせながら
このアイアントラックの高さを決めるのには
えらく慎重になっていたのを憶えている

実物を見たことのない親父と僕にしてみりゃ、
手元にあるのは雑誌ポパイに載ってる記事カットのみ

兎に角、前に動きゃ良いということしかない

そして完成した
親父作のアイアン&ウッド素材のスケートボード

完成直後の親父のしたり顔と
僕の興奮度に反し

恐々、片足をのっけて地面を蹴る
初めて乗るスケートボードは
重く、うるさく、少しも曲がらないし、当然しなりもしない
しばらくして、スピードも出ないことにも気付く

でも嬉しくって
ゴロゴロと音をたてながら
毎日毎日、家の前を走ったっけ

そして、欲しくて欲しくて、数ヵ月後に手にした
本もののスケートボードは
何と、軽く、早く、スムーズなこと

きっと、親父にしてみれば
悔しかったに違いない

しかし、親父の作ってくれた不自由なスケートボードは
当然ながらスケボー養成ギブスになっていたのだ

完成したときの親父のしたり顔を思い出す。

                  大東寝具工業/大東利幸

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